恵まれた国の中でアメリカが一番恵まれていると言う人は多いと思う。力や名誉や富で豊かな国で、個人主義のおかげで人は自由。人は自分の為に生きて、自分の幸せを掴むのが最優先。世界から見ればはアメリカでの生活は何にも抑えられず、自分が独りで生きていけるイメージがあるのだろうか?
一方、日本は平和な国で人々が自己を押さえ、集団や社会の為に生きているイメージが強いだろう。人々がお互いを助けあうからこそ平和な日々に恵まれている。
これを考えるとアメリカの方が自殺問題が大きいことが当然のように思える。でも、現実を見るとそうではないと気付く。それだけではない、日本の自殺率はアメリカの2倍。そして世界の国の中で4位、G8の中で1位だと分かる。
それだけではない。共生社会政策統括官の「22年度自殺対策白書」によると日本の自殺率は平成9年から12年連続3万を超えている 。アメリカの自殺数も数で言えばほぼ同数になるが、日本の人口はアメリカの半分ぐらいだから驚くべき数だと思う。この3万以上の自殺者のうちの71%は男性である。そして死亡原因順位と年齢で見るとこの悲しい現状がはっきり出てくる。厚生労働省の「21年度人口動態統計月報年計」によると自殺は15−39歳の人の死亡原因で1位、10−14歳と40−49歳では2位。 それに比べて、アメリカでは2006年に15−24歳で自殺は3位だった。
日本の自殺問題はもうだれにも隠しておくことはできない。政府も本気に対策を練って試行錯誤している。それでも自殺数は上がる一方だ。そして10−19歳、即ち未成年の自殺数が少しずつ上がっていることが一番悲しい現状である。
どうしてイメージと現実がこんなにずれているのだろう?
色々原因があると思う。でも、アメリカと日本の基本的な違いで出てくる原因の一つ、自己表現力が、原因の一つとしてとても重要なことだと思う。アメリカでは子供は幼い時から自分の思いや考えを表現するすよう勧められる。学校ではその技術を身に付け、練習する。社会や周りの人から自分の自己を受け入れて生かすことを学ぶ。その一方で、日本の学校では自己を押さえて集団として生きることが強調される。自分のことを考える、自分の意見を表すといったこともしているけど、今の日本人の中では自分の意見をはっきり言える人は少ない。
自分の気持ちや考えや経験を他の人に分かってもらえるように表現できる力は人間に取って重要な能力で、欠けていたら他人と分かり合うことは不可能だ。
自殺はアメリカにとっても日本にとっても複雑な問題で色々な原因がある。自己表現力はこの問題を解く一つの鍵であると思う。次からもっと詳しく自殺の原因を見ていこう。
共生社会政策統括官の「22年度自殺対策白書」
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2010/pdf/gaiyou/index.html
厚生労働省の「21年度人口動態統計月報年計」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai09/index.html
日本には切腹という独自の風習がありました。明治時代まで軍人まで切腹を武人らしい名誉ある自決と考える向きはあったようです。
返信削除だからといって自殺を肯定するつもりは毛頭ありませんし、して欲しくないと思います。
自殺の理由はいろいろあると思いますが、「死んでお詫びをする」人も日本にはいるのだと思います。
コメントに誤りがありましたので訂正します。すみませんでした。
返信削除>明治時代まで軍人まで切腹を武人らしい名誉ある自決と考える向きはあったようです。
→明治時代まで軍人の切腹を武人らしい名誉ある自決と考える向きはあったようです。
そうですよね。この考え方もまだ日本にあることも問題の一面だと思います。命と引き換えに名誉と取り戻せるという考えもまだあるだろうか?
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